出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イエティ (yeti) は、ヒマラヤ山脈に住むと言われている未確認動物。全身が毛に覆われ、直立歩行すると言われている。イエティはシェルパ族の言葉で、岩を意味する"Yah"と動物を意味する"Teh"が語源である。
【PR】
イン・ザ・マネーイエティのイラスト(想像図)現地では伝承としてその存在が伝えられていたが、1887年、イギリスのウォーデル大佐が足跡を発見したことで世界に知られるようになった。それ以来、足跡だけでなく実物を目撃したとの報告もあり、1954年にイギリスのデイリー・メール紙に組織されたのを皮切りとして、各国より何度となく探査隊が派遣されている。日本では1959年に東京大学医学部で小川鼎三教授を代表とする「日本雪男研究グループ」が結成され、毎日新聞社をスポンサーとして、6名の学術探検隊がエベレスト山麓に派遣された。
イエティの正体については未知の巨大類人猿(或いは新生代第三期の大型類人猿ギガントピテクス)説も出されたが、1960年に、探検家のエドモンド・ヒラリー卿ら18名参加の国際学術探査隊がエベレスト山麓を調査した結果、「イエティの足跡」はキツネ、ネパールのラマ教寺院に保存されている「イエティの頭皮」はカモシカの一種、「イエティの鳴き声」は雪ヒョウ、大きなイエティ「チュッテー」のものとされた毛や糞はヒグマ、中くらいのイエティ「ミッテー」の毛と糞についてはカモシカ、小さなイエティ「テルマー」の毛と糞はアカゲザルであると発表した。
最近では、ヒグマの姿をシェルパに見せたところ、彼らはヒグマを「イエティ」と認知したことが判明している。ブータンで「雪男」を指すとされた「メギュ」、チベットでの「テモ」もヒグマを指す名称だった。
そもそもイギリスのエベレスト登山隊がイエティを未確認動物にして資金を集めていた事実は、R・メスナーの著書『My Quest for the Yeti』に1930年代にドイツの探検家・動物学者E・シェーファーによって証されていたことが記載されている。また1959年日本の登山隊に地元住民がイエティの毛皮だとしてヒグマの毛皮を差し出したことも知られている。多くの登山家達が資金繰り(エベレスト登山の場合、現在登山料は団体割引を使っても最低一人10,000米ドル)に悩んだあげく、故意であるかは別にして地元でイエティと呼ばれていたヒグマを未確認生物に仕立て上げ、資金源にしていたのが現実だった。
登山家の根深誠も2003年にチベットで調査をおこない、イエティはヒグマであったと結論している。