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ヘビ(蛇)は、有鱗目・ヘビ亜目に分類される爬虫類の総称。長い体に頭と尾があり、瞼、外耳、足がなく、全身が鱗におおわれる。毒を持った種類もいる。
ヘビは中生代にトカゲ類の一部が足を退化させて誕生した動物とされ、現在もメクラヘビやニシキヘビなど一部の原始的なヘビに腰帯の痕跡を持つ種類がある。一部のニシキヘビには大腿骨も残っている。なお肩帯のある種類は現存しない。
細長い体に2つの肺が並んでいては邪魔になるためか左肺が退化している。原始的なヘビほど左肺が大きい傾向にある。
胴と尾の区別は、一般に総排出腔から先が尾とされる。無論骨格を見れば胴体と尾の境界はある。変温動物なので、極端な暑さ寒さの環境下では休眠を行なう。
全世界の熱帯・温帯を中心に3000種類ほどが知られている。生息環境は森林、草原、砂漠、川辺、海など種類によってさまざまで、地上でくらす種類、木の上でくらす種類、浅い地中にもぐってくらす種類、海中を自在に泳ぐ種類など多様性に富む。
大きさも最大10mといわれるアミメニシキヘビやアナコンダから、10cmそこそこのメクラヘビ類までさまざまな大きさがある。なお世界最大の毒蛇は体長5m以上になるキングコブラとされる。
視力は人間などに比べると弱いが、これは蛇の祖先が現在のメクラヘビ科のように地中性であるために1度目が退化しかけたことによるものであると考えられている。このため現存のものにも目が退化した種類も多い。聴覚や脚を退化させたのも地中に潜ったことと関連があるという。その反面嗅覚が発達しており、舌をひらめかせることによりにおいを感じ取って獲物を追う。マムシやハブなどは、目と鼻のあいだに赤外線(動物の体温)を感じ取る"ピット"(赤外線感知器官)をもつ。
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資格ライフ食性はすべてが肉食性で、主食はシロアリ、ミミズ、カタツムリ、カエル、ネズミ、魚類、鳥類など種類によって異なる。大型の種類ではシカやワニまでも捕食することがあるが、変温動物で体温を保つ必要がないため、食事の間隔は数日から数週間ほどである。獲物を捕食するときは、噛みついてそのまま強引にくわえ込む、長い体でぐるぐると巻きついて締めあげて窒息させる、毒蛇の場合は毒牙から毒を注入して動けなくする、などの後に左右に割れた下あごを交互に前後させ呑みこむ。