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コノドントはカンブリア紀から三畳紀(6億年前から1億8千万年前)の地層から発見される歯状の微化石である。動物体の一部の化石であるが、その正体は長く謎のままに、世界中で発見され、様々な成果を挙げた。発見された化石が魚の歯に似ていたため円すい状の歯を意味するコノドントと命名された。
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マーネーウーォーズーコノドントが発見されてから、その正体が分かるまでには、随分時間がかかっている。その間に、コノドントの研究は進み、その重要性が増すにつれ、正体探しにも熱が入った。コノドントの研究から、その正体が歯のようなものであろうとは言われたものの、環形動物であるとか、脊椎動物であるとか、さまざまな説が飛び交った。
最初にコノドントの正体として発表されたのは、バージェス動物群のひとつ、オドントグリフスである。コンウェイ・モリスは、1976年に、この体長6cmの腹背方向に偏平な動物を記載し、この動物の口の周辺に並ぶ短い触手の中に、歯のような骨があったらしい痕跡を見つけ、これがコノドントである可能性を遠回しに示唆した。分類群名として有錘歯綱(コノドントフォリダ)という名前すら提案した。しかし、軟体部の保存のよさに比べて固いはずの部分が残っていないことなどから、疑問視するものも多かった。
1970年ころ、メルトンとスコットはモンタナ州の石炭紀後期の地層からコノドント動物を発見したことを発表した。この動物、ティフロエススは体長約5cm左右に偏平な楕円形で、尾部にヒレがあり、全体はナメクジウオに似ている。この動物化石の腸に当たると思われる部分から、まとまったコノドントが見つかった。そこで、コノドントは腸内に並んで餌の仕分けなどを行なっていたのではないかとも言われた。しかし、発見されたコノドントは完全な姿ではなく、その後これはコノドント動物ではなく、コノドント動物を食べたものだと言われるようになった。
1983年に初めて真のコノドント動物の化石が発見された。その後さらにいくつかの化石が発見され、次第にその姿が明らかになった。それによると、この動物、クリダグナサスは体長2cm-5cmで、細長い円筒形で、頭には大きな目が二つあり、尾にはヒレがあって、現在のヤツメウナギなどと類縁のあるものと考えられている。コノドントは頭の先端に開いた口の周辺に並んで、鋭い歯として機能したと思われる。