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胃癌は胃壁のもっとも内側にある胃粘膜から発生する。進行すると他の臓器やリンパ節にも転移し、胃壁で成長した癌は食道や十二指腸にまでも到達する。
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HOTはほっとするまた、癌が胃壁を越えると肝臓、膵臓、大腸など他の臓器に浸潤し、肺や鎖骨より上のリンパ節あるいは卵巣に遠隔転移する。
組織型としては、殆どが腺癌(胃小窩や胃腺に分化する円柱上皮幹細胞から生ずる)であり、稀にガストリン等の内分泌細胞から生ずる内分泌細胞癌(=高悪性度カルチノイド)が発症する。ごく稀に、腺癌とカルチノイドの両方の性質を持った癌が生ずる。また、ごく稀に扁平上皮癌など、胃には無い筈の種類の上皮の癌が生ずる(おそらく、化生した細胞を母地とする)。
胃癌が身体の他の部位に浸潤・転移し、その先で同一種類の癌細胞からなる新しい腫瘍を形成すると、それは原発腫瘍と同一の名称で呼ばれる。例えば、胃癌が肝臓に転移した場合は肝臓にある癌細胞は胃癌細胞であり、疾患としての名称は胃癌肝転移となり、(原発性)肝癌ではない(しかし、WHOなどが行っている各臓器の腫瘍の組織学的分類には、便宜的に「転移性腫瘍」なり「二次性腫瘍」なりの項目が設けてあるのが通常である)。
胃癌と併発することが知られている卵巣のクルーケンベルグ腫瘍(Krukenberg tumor)は胃癌が卵巣に転移した癌である。この腫瘍は最初に発見した医師の名にちなんで命名されているが、胃癌と異なる疾患ではない。クルーケンベルグ腫瘍の細胞は胃癌細胞であり、原発腫瘍と同一の癌細胞である。