ダゴン(Dagon)は、古代パレスチナにおいてペリシテ人が信奉していた神。名前の由来はヘブライ語のダーグ(魚)ともダーガーン(穀物)ともいわれる。 父親はエル。伝承によってはバアルの父とされる。魚の頭をもつ海神と考えられてきたが、近年の研究では農耕神であった可能性も強い。ガザとアシトドに大きな神殿があった。
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旧約聖書によれば、ペリシテ人はイスラエルと戦い、勝利して契約の箱を奪ったとき、アシトドのダゴンの神殿にこれを奉納した。翌朝、ダゴンの神像は破壊され、ペリシテ人は疫病に悩まされたため、ペリシテ人は賠償をつけて契約の箱をイスラエルに返したとされる。破壊された神像は頭と両手が切り離されて魚のような体の部分だけが残っていたという。 近世ではミルトンの『失楽園』において、「海の怪物」とされ、悪魔の一人に数えられている。ここではすでにダゴンは上半身が魚の半魚半人の姿をもつものとされる。
なおH・P・ラヴクラフトもこれをモチーフとして取り上げ、現在ではクトゥルフ神話の重要な一編とされる『ダゴン』(『魚神デイコン』の邦題もある、1917年)、『インスマウスの影』(1931年)に登場させている。 2000年に発売されたゲーム『人魚の烙印』にもクトゥルフ神話を受けて呪いによって半魚半人の姿に変えられてしまうヒロインが登場している。